
中小企業のホームページが「集客できない」5つの理由と改善策
はじめに
金融機関の本業支援担当として、取引先の中小企業から「ホームページを作ったけれど、お問い合わせが来ない」「リニューアルしたのに売上につながらない」といった相談を受けることは少なくないでしょう。
実際、中小企業のWeb制作における課題は深刻です。経済産業省の調査によれば、中小企業の約70%がデジタルマーケティングに課題を抱えており、特にホームページからの集客に苦戦しています。一方で、適切な改善を行った企業では、問い合わせ数が3〜5倍に増加したケースも珍しくありません。
本記事では、金融機関の担当者として取引先企業へ的確なアドバイスができるよう、中小企業のホームページが集客できない具体的な理由と、実務で活用できる改善策を解説します。
理由1:「誰に」「何を」伝えるかが明確でない
なぜこれが問題なのか
多くの中小企業のホームページは、「すべての人に向けて、すべてのサービスを紹介する」という姿勢で作られています。しかし、これでは誰の心にも刺さらず、結果として誰からも選ばれないサイトになってしまいます。
ある製造業のA社は、ホームページに「創業50年の信頼と実績」「幅広い製品ラインナップ」といった抽象的な情報しか掲載していませんでした。訪問者は「具体的に自社の課題を解決してくれるのか」が分からず、離脱率が高い状態でした。
金融機関担当者が提案すべき改善策
ターゲット顧客の明確化
- 既存顧客の分析データを活用し、最も収益性の高い顧客層を特定
- その顧客層が抱える具体的な課題を3つリストアップ
- ホームページのトップページで「こんな課題を抱えていませんか?」と問いかける構成に変更
具体例: 従来:「当社は高品質な部品加工を提供します」 改善後:「納期遅延でお困りの自動車部品メーカー様へ。当社は図面到着から3日以内の試作対応で、開発スピードを加速します」
この改善により、ターゲットが明確になり、該当する企業からの問い合わせ率が向上します。
理由2:スマートフォン対応が不十分
なぜこれが問題なのか
現在、BtoB企業であっても、初回アクセスの60%以上がスマートフォンからです。しかし、多くの中小企業のホームページは、パソコン表示を前提に設計されており、スマートフォンでは文字が小さすぎる、ボタンが押しにくい、表示が崩れるといった問題を抱えています。
Googleの調査では、スマートフォンでの表示に3秒以上かかるサイトは、訪問者の53%が離脱することが分かっています。さらに、2024年現在、GoogleはモバイルファーストインデックスをSEOの基準としており、スマートフォン対応が不十分なサイトは検索順位も下がります。
金融機関担当者が提案すべき改善策
スマートフォン対応のチェックポイント
- 表示速度の確認:Google PageSpeed Insightsで測定し、モバイルスコアが80以上を目指す
- タップ領域の最適化:電話ボタンや問い合わせボタンは最低44×44ピクセル以上
- レスポンシブデザインの導入:画面サイズに応じて自動的にレイアウトが調整される仕組み
- フォームの簡略化:スマートフォンでも入力しやすい項目数(5項目以内)に削減
具体的な提案例: 取引先企業に対して、まずは自社のスマートフォンで自社サイトを見てもらいましょう。「電話番号をタップするだけで発信できますか?」「フォームは片手で入力できますか?」といった実務的な質問をすることで、問題点が可視化されます。
理由3:検索エンジンで見つけてもらえない(SEO対策の不足)
なぜこれが問題なのか
中小企業のWeb制作における最大の課題の一つが、SEO(検索エンジン最適化)への理解不足です。「デザインがきれいなホームページを作れば、自然と顧客が来る」という誤解が根強く残っています。
実際には、どれだけ優れたホームページを作っても、検索結果の2ページ目以降に表示されるサイトのクリック率はわずか1%以下。つまり、「〇〇 製造」「△△ 修理」といった見込み客が検索するキーワードで、1ページ目(特に上位3位以内)に表示されなければ、存在しないのと同じなのです。
金融機関担当者が提案すべき改善策
基本的なSEO対策チェックリスト
キーワード選定
- 顧客が実際に検索する言葉を特定(例:専門用語ではなく、一般的な言い回し)
- 検索ボリュームと競合性のバランスを考慮
- 地域名+業種名のローカルSEOを活用(例:「横浜 板金加工」)
タイトルタグとメタディスクリプションの最適化
- 各ページに固有のタイトル(30文字程度)を設定
- 主要キーワードを含める(ただし不自然な詰め込みは逆効果)
- メタディスクリプション(120文字程度)で具体的な価値を伝える
コンテンツの充実
- 製品・サービスページに最低800文字以上の説明文
- 顧客の疑問に答える「よくある質問」ページの設置
- 事例紹介や技術情報などのブログ記事を月2回以上更新
Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)の活用
- 基本情報(住所、電話番号、営業時間)を正確に登録
- 写真を10枚以上掲載(外観、内観、製品、スタッフなど)
- 定期的に投稿を更新(新商品、イベント、お知らせなど)
実践的なアドバイス: 「SEO対策は専門知識が必要」と思われがちですが、まずは基本から始めることが重要です。取引先企業に対しては、「自社の製品・サービスを探している人が、どんな言葉で検索するか」を一緒に考えることから始めましょう。その上で、専門的な対策が必要な場合は、信頼できるWeb制作パートナーを紹介することも本業支援の一環となります。
理由4:問い合わせ導線が複雑で分かりにくい
なぜこれが問題なのか
せっかく見込み客がホームページを訪れても、「どうやって問い合わせればいいのか分からない」「問い合わせフォームが見つからない」という理由で離脱するケースが非常に多いのです。
ある建設会社のB社では、問い合わせボタンがページの最下部にしかなく、しかも小さく目立たない配色でした。さらに、問い合わせフォームには15項目もの入力欄があり、必須項目も多数。このような状態では、興味を持った見込み客でも途中で諦めてしまいます。
調査データによれば、問い合わせフォームの入力項目を10項目から5項目に減らすだけで、コンバージョン率(問い合わせ率)が平均34%向上することが分かっています。
金融機関担当者が提案すべき改善策
問い合わせ導線の最適化ポイント
CTAボタンの配置と視認性
- 各ページの目立つ位置(右上、コンテンツ中、最下部など複数箇所)に配置
- 色は背景と明確に区別できる配色(推奨:オレンジ、赤、緑などアクション色)
- ボタンの文言は具体的に(「無料相談はこちら」「今すぐ見積依頼」など)
問い合わせ手段の多様化
- 電話番号を大きく表示(スマホではタップで発信)
- 問い合わせフォーム
- チャット機能(可能であれば)
- LINE公式アカウントやメールアドレス
フォーム最適化の具体策
- 入力項目は5項目以内(会社名、担当者名、電話番号、メールアドレス、問い合わせ内容)
- 必須項目を最小限に
- 入力例を表示して分かりやすく
- エラーメッセージは具体的に表示
- 送信完了後に確認メールを自動送信
信頼性の担保
- プライバシーポリシーへのリンク表示
- 「営業時間内に必ず返信します」といった安心メッセージ
- 担当者の顔写真や名前の掲載
実践的な提案: 取引先企業の担当者に、実際に自社のホームページから問い合わせをしてもらいましょう。「スマホで3分以内に問い合わせできるか」をテストすることで、改善点が明確になります。
理由5:更新されず、古い情報のまま放置されている
なぜこれが問題なのか
「ホームページは一度作れば終わり」と考えている中小企業は少なくありません。しかし、最終更新日が数年前のサイトや、昨年のイベント情報が掲載されたままのサイトを見た訪問者は、「この会社は本当に営業しているのか?」「情報が古いのでは?」と不安を感じます。
実際、BtoB企業の購買担当者を対象にした調査では、82%が「ホームページが更新されていない企業への発注は躊躇する」と回答しています。さらに、GoogleのSEOアルゴリズムも、定期的に更新されているサイトを高く評価する傾向にあります。
金融機関担当者が提案すべき改善策
持続可能な更新体制の構築
最低限の更新ルール設定
- 月1回:お知らせやブログの更新
- 四半期に1回:実績・事例の追加
- 年1回:会社情報や製品ラインナップの見直し
更新しやすいコンテンツの企画
- 業界ニュース解説:自社に関連する業界動向を分かりやすく解説
- 技術情報の発信:専門知識を平易な言葉で紹介(顧客教育)
- スタッフ紹介:社員の仕事内容や人柄を紹介し、親近感を醸成
- 季節のご挨拶:新年の挨拶、夏季休業のお知らせなど定型コンテンツ
更新作業の簡素化
- CMS(コンテンツ管理システム)の導入で専門知識不要に
- スマートフォンからも更新できる仕組み
- 外部の専門業者と月額保守契約(月額1〜3万円程度)
社内体制の整備
- 更新担当者を明確に指名(兼任でも可)
- 月次の更新スケジュールを作成
- 各部署から情報を吸い上げる仕組みづくり
金融機関としての支援提案: 取引先企業に対して、「ホームページ更新も営業活動の一環」という意識改革を促すことが重要です。具体的には、更新コストを販促費として融資プランに組み込む、Web制作会社との保守契約を提案するなど、実務的なサポートが効果的です。
また、宣研ロジエのような金融機関のマーケティングパートナーと連携し、取引先企業のホームページ運用を包括的に支援する体制を構築することも、本業支援の付加価値向上につながります。
まとめ:本業支援としてのWeb制作課題解決アプローチ
中小企業のホームページが集客できない5つの理由と改善策を解説してきました。重要なのは、これらは決して解決不可能な問題ではなく、適切な知識とアプローチがあれば確実に改善できるという点です。
金融機関担当者が取るべきアクションプラン
現状診断の実施
- 取引先企業のホームページを実際にチェック(PC・スマホ両方)
- 上記5つの観点で問題点をリストアップ
- 優先順位をつけて改善計画を提案
専門パートナーとの連携
- 信頼できるWeb制作会社・マーケティング支援会社のネットワーク構築
- 取引先企業の規模や予算に応じた最適な支援先の紹介
- 金融機関として、Web制作・運用費用の融資プラン提供
継続的なフォローアップ
- 改善実施後の効果測定(問い合わせ数、アクセス数の変化)
- 定期的な見直しと追加施策の提案
- 成功事例の横展開(他の取引先への情報共有)
教育・啓発活動
- 取引先企業向けのWebマーケティングセミナー開催
- 事例集やチェックリストの配布
- 個別相談会の実施
最後に
デジタル化が加速する現代において、ホームページは中小企業にとって「営業担当者」であり「店舗」であり「信頼の証明」です。しかし、多くの中小企業は、Web制作の課題に対して専門知識が不足しており、どこから手をつければいいか分からない状態にあります。
金融機関の本業支援担当者として、単なる資金供給だけでなく、取引先企業の売上向上・事業成長を実現するための実践的なアドバイスができれば、それは金融機関と企業の双方にとって大きな価値となります。
本記事で紹介した5つの理由と改善策を、ぜひ明日からの本業支援活動にお役立てください。取引先企業のホームページが「集客できるサイト」に生まれ変わることで、企業の業績向上、ひいては金融機関との長期的な信頼関係構築につながっていくはずです。
宣研ロジエ株式会社では取引先のホームページ制作など、金融機関のパートナーとしてお手伝いいたします。
中小企業だからこそできる、お取引先様と目線を合わせたきめ細やかで、現実的な支援をご提供いたします。
是非お気軽にお問い合わせください。


