
【保存版】金融機関の企画・営業担当が知るべきWebマーケティング用語
金融機関における本業支援の現場では、取引先企業のデジタルマーケティング支援が重要なテーマとなっています。地方銀行の80%以上、ほぼ全ての信用金庫が取引先企業のWeb活用支援に取り組む中、担当者には正確なマーケティング知識が求められています。
本記事では、金融機関の企画・営業担当者が取引先企業との対話で必ず押さえるべきWebマーケティング用語を、実務での活用シーンとともに解説します。
目次[非表示]
基礎となる戦略用語
SEM(Search Engine Marketing:検索エンジンマーケティング)
定義: 検索エンジンを活用したマーケティング施策全般を指す概念。SEOとリスティング広告の両方を含む包括的なマーケティング手法。
実務での活用: 取引先企業が「Web集客を強化したい」と相談してきた際、SEMの視点で「自然検索からの流入」と「広告経由の流入」の両軸から提案できます。
SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)
定義: 検索エンジンの自然検索結果で上位表示されるよう、Webサイトを最適化する施策。GoogleやYahoo!などの検索エンジンで、広告ではない検索結果からの流入を増やすことを目的とする。
特徴:
- コストは比較的低いが、効果が出るまで3〜6ヶ月以上かかる
- 一度上位表示されると、継続的な流入が見込める
- 中長期的な資産形成型の施策
実務での活用: 取引先が「広告費を抑えたい」「継続的に集客したい」というニーズを持つ場合、SEO施策を提案。特に地域密着型ビジネスでは「地域名+業種」などのキーワードでの上位表示が効果的です。
リスティング広告(検索連動型広告)
定義: 検索エンジンの検索結果画面に表示される広告。ユーザーが検索したキーワードに連動して表示されるため、購買意欲の高い見込み客にアプローチできる。
特徴:
- 即効性が高く、出稿後すぐに効果測定が可能
- クリック課金型(CPC:Cost Per Click)が一般的
- 予算のコントロールがしやすい
実務での活用: 「新商品を短期間で認知させたい」「特定の商圏で集中的に集客したい」という取引先に有効。地方金融機関では、地域限定配信の提案で地元企業を支援できます。
効果測定に必須のKPI用語
KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)
定義: 最終目標(KGI:重要目標達成指標)の達成に向けて、プロセスが適切に進んでいるかを測る中間指標。
実務での活用: 取引先企業のWebマーケティング支援では、「売上○○万円」というKGIに対し、「月間サイト訪問者数○○人」「お問い合わせ数○○件」などのKPIを設定し、進捗を定量的に把握します。
CV(Conversion:コンバージョン)
定義: Webサイトにおける最終的な成果。サイトの目的によって異なり、商品購入、資料請求、お問い合わせ、会員登録などを指す。
具体例:
- ECサイト:商品購入
- BtoB企業サイト:お問い合わせ、資料請求
- 採用サイト:エントリー
実務での活用: 取引先企業のWebサイトを評価する際、「何をゴール(CV)と定義するか」を明確にすることが第一歩です。金融機関の本業支援では、企業の事業目的に合わせたCV設定をアドバイスできます。
CVR(Conversion Rate:コンバージョン率)
定義: サイト訪問者のうち、コンバージョンに至った割合。
計算式: CVR(%)= コンバージョン数 ÷ セッション数(訪問数)× 100
実務での活用: 取引先のWebサイトで「月1,000人訪問があるのに問い合わせが5件しかない(CVR 0.5%)」といった課題を数値で可視化。業界平均と比較することで改善の余地を示せます。
CPA(Cost Per Acquisition:顧客獲得単価)
定義: 1件のコンバージョンを獲得するためにかかったコスト。
計算式: CPA = 広告費用 ÷ コンバージョン数
実務での活用: 「広告費30万円で問い合わせ10件獲得」なら、CPA は3万円。取引先企業が「1件あたりの顧客獲得にいくらまでなら投資できるか」を明確にすることで、広告予算の妥当性を判断できます。
CTR(Click Through Rate:クリック率)
定義: 広告やコンテンツが表示された回数(インプレッション)に対して、クリックされた割合。
計算式: CTR(%)= クリック数 ÷ 表示回数(インプレッション)× 100
実務での活用: リスティング広告の運用で、「広告文やキーワードが適切か」を判断する指標。CTRが低い場合は、広告文の見直しやターゲット設定の調整が必要です。
ROI(Return On Investment:投資収益率)
定義: 投資に対してどれだけの利益が得られたかを示す指標。
計算式: ROI(%)=(売上 − コスト)÷ コスト × 100
実務での活用: 「広告費50万円をかけて、売上200万円、原価80万円」の場合、ROI = (200万円 − 80万円 − 50万円) ÷ 50万円 × 100 = 140%。取引先に対し、マーケティング施策の投資対効果を明確に示せます。
Webサイト分析の基本用語
セッション(訪問数)
定義: ユーザーがサイトを訪問してから離脱するまでの一連の行動。30分間操作がない場合や日付が変わると、新しいセッションとしてカウントされる。
実務での活用: 「月間セッション数」は、サイトの集客力を測る基本指標。取引先企業のサイトで「セッション数は多いのにCVが少ない」場合、サイトの内容やユーザビリティに課題があると判断できます。
PV(Page View:ページビュー)
定義: Webサイト内でページが表示された回数。1セッション内で複数ページを閲覧すると、その分PV数が増加する。
実務での活用: PV数とセッション数の比率(PV/セッション)で、ユーザーがどれだけサイト内を回遊しているかを把握。回遊率が低い場合は、ナビゲーションの改善や関連コンテンツの充実を提案できます。
UU(Unique User:ユニークユーザー)
定義: 一定期間内にサイトを訪問した「重複しない」ユーザー数。同じユーザーが複数回訪問しても1UUとカウントされる。
実務での活用: 「月間10,000セッション、5,000UU」の場合、1人のユーザーが平均2回訪問していることを示します。リピート率の把握に有効です。
直帰率(Bounce Rate)
定義: サイトを訪問したユーザーが、最初の1ページだけを見て離脱した割合。
計算式: 直帰率(%)= 1ページのみ閲覧したセッション数 ÷ 全セッション数 × 100
実務での活用: 直帰率が高い(70%以上など)場合、ページの内容がユーザーの期待と合っていない、またはページの読み込みが遅いなどの問題が考えられます。取引先企業のランディングページ改善の指標として活用できます。
コンテンツマーケティング関連用語
コンテンツマーケティング
定義: 価値あるコンテンツを作成・配信することで、ターゲット顧客を引き付け、関係性を構築し、最終的に収益につながる行動を促すマーケティング手法。
実務での活用: 取引先企業が「ブログを始めたい」「お役立ち情報を発信したい」という場合、単なる情報発信ではなく、顧客の課題解決につながるコンテンツ制作を支援。金融機関の本業支援として、継続的なコンテンツ制作の伴走が重要です。
オウンドメディア(Owned Media)
定義: 企業が自社で所有・運営するメディア。自社Webサイト、ブログ、メールマガジンなどを指す。
実務での活用: 広告費をかけずに情報発信できる資産。取引先企業に「自社で情報をコントロールできるメディアを持つ重要性」を説明する際に使用します。
リード(Lead:見込み客)
定義: 自社の商品・サービスに興味を持ち、将来的に顧客となる可能性のある個人や企業。名刺交換や資料請求で獲得した連絡先情報を持つ見込み客を指す。
実務での活用: BtoB企業の取引先支援では、「リードをどう獲得し、育成するか」が重要。展示会やセミナー、Web経由で獲得したリード情報を適切に管理し、営業活動につなげる仕組みを提案できます。
リードジェネレーション(Lead Generation)
定義: 見込み客(リード)を獲得するマーケティング活動。Web広告、コンテンツマーケティング、展示会、セミナーなど、様々な手法で潜在顧客との最初の接点を作る。
実務での活用: 「新規顧客を増やしたい」という取引先に対し、Webサイトでの資料ダウンロード、お問い合わせフォームの最適化、ウェビナー開催などの施策を提案します。
リードナーチャリング(Lead Nurturing)
定義: 獲得した見込み客(リード)に対して、継続的なコミュニケーションを通じて購買意欲を高め、将来的な顧客へと育成するマーケティング活動。
具体的な手法:
- メールマーケティング
- 段階的な情報提供(検討段階に応じたコンテンツ配信)
- セミナー・ウェビナーへの招待
実務での活用: BtoB企業では、問い合わせから成約までに時間がかかるため、その間の関係構築が重要です。取引先企業に「獲得したリードを放置せず、適切なタイミングで情報提供する仕組み」を提案できます。
デジタル広告関連用語
ディスプレイ広告
定義: Webサイトやアプリの広告枠に表示される、画像・動画・テキストを組み合わせた広告。バナー広告とも呼ばれる。
特徴:
- 視覚的にアピールできる
- 認知度向上に効果的
- リマーケティング(後述)との相性が良い
実務での活用: 検索行動をしていない潜在層へのアプローチに有効。取引先企業のブランディングや新商品の認知拡大施策として提案できます。
リマーケティング(リターゲティング)
定義: 一度サイトを訪問したユーザーに対して、再度広告を表示する手法。見込み度の高いユーザーに絞って広告配信できるため、費用対効果が高い。
実務での活用: 「サイトに来たユーザーの90%以上は、すぐには購入しない」という実態を踏まえ、再アプローチの重要性を説明。ECサイトやBtoB企業で特に効果的です。
インプレッション(Impression)
定義: 広告やコンテンツが表示された回数。ユーザーが実際に見たかどうかに関わらず、画面に表示された回数をカウント。
実務での活用: ブランド認知施策では「何人に見てもらえたか(リーチ)」が重要。インプレッション数は、広告の露出度を測る基本指標です。
マーケティングオートメーション関連用語
MA(Marketing Automation:マーケティングオートメーション)
定義: マーケティング活動を自動化するツール・仕組み。リード管理、メール配信、スコアリング、効果測定などを統合的に行う。
主な機能:
- リード情報の一元管理
- シナリオ型メール配信(ステップメール)
- Webサイト訪問履歴の追跡
- リードスコアリング(見込み度の点数化)
実務での活用: 中堅企業以上の取引先で、「獲得したリードが営業につながっていない」という課題に対し、MAツールの導入支援を提案。金融機関として、ツールベンダーとの連携や導入後の運用支援まで伴走できます。
シナリオ設計(Scenario Design)
定義: 顧客の行動や属性に応じて、自動的に最適なコンテンツやメールを配信するためのシナリオを設計すること。
具体例:
- 資料ダウンロード後、3日後に事例紹介メール配信
- メール開封した場合、1週間後にセミナー案内
- 開封しない場合、2週間後に別の切り口でアプローチ
実務での活用: MAツール導入時、「どういう顧客行動に対して、どんな情報を提供するか」のシナリオ設計が成否を分けます。取引先企業の営業プロセスを理解した上で、適切なシナリオ設計を支援できます。
SNSマーケティング用語
エンゲージメント(Engagement)
定義: SNS上でのユーザーとの関わりの深さを示す指標。いいね、コメント、シェア、保存などのアクション全般を指す。
実務での活用: 取引先企業のSNS運用支援では、フォロワー数だけでなく、「どれだけユーザーと関係性を築けているか」を示すエンゲージメント率を重視します。
UGC(User Generated Content:ユーザー生成コンテンツ)
定義: 企業ではなく、一般ユーザーが作成・投稿したコンテンツ。口コミ、レビュー、SNS投稿など。
実務での活用: 消費者の信頼度が高く、購買決定に大きな影響を与えます。取引先企業に「顧客の声を活用したマーケティング」を提案する際の概念として重要です。
インフルエンサーマーケティング
定義: SNSなどで影響力を持つ人物(インフルエンサー)を活用して、商品・サービスの認知拡大や購買促進を図るマーケティング手法。
実務での活用: 地域密着型ビジネスでは、地元で影響力のある人物とのタイアップが効果的。金融機関のネットワークを活かして、適切なインフルエンサーとのマッチング支援も可能です。
アクセス解析ツール
Googleアナリティクス(Google Analytics)
定義: Googleが無料で提供するWebサイトのアクセス解析ツール。訪問者数、行動、コンバージョンなどを詳細に分析できる。
主な分析項目:
- ユーザー属性(年齢、性別、地域)
- 流入経路(検索、SNS、広告など)
- サイト内行動(閲覧ページ、滞在時間)
- コンバージョン達成状況
実務での活用: 取引先企業のWebサイト改善提案の基礎データとして必須。「感覚ではなく、データに基づいた提案」を行うことで、金融機関の本業支援の質を高められます。
Google Search Console(グーグルサーチコンソール)
定義: Googleが無料で提供する、検索結果でのサイトパフォーマンスを確認できるツール。どのようなキーワードで検索されているか、検索順位、クリック率などを把握できる。
実務での活用: SEO施策の効果測定に不可欠。取引先企業が「どんなキーワードで見つけられているか」「改善すべきページはどこか」をデータで示せます。
顧客分析・戦略用語
ペルソナ(Persona)
定義: 自社の典型的な顧客像を、年齢、性別、職業、課題、価値観などを具体的に設定した架空の人物像。
実務での活用: 取引先企業が「誰に向けて情報発信すべきか」を明確にする際に活用。ペルソナを設定することで、コンテンツ制作や広告のターゲティング精度が向上します。
カスタマージャーニー(Customer Journey)
定義: 顧客が商品・サービスを認知してから購入に至るまでのプロセスを、顧客視点で可視化したもの。各段階での行動、思考、感情を整理する。
典型的な段階:
- 認知(Awareness)
- 興味・関心(Interest)
- 比較・検討(Consideration)
- 購入(Purchase)
- 継続・推奨(Loyalty)
実務での活用: 取引先企業のマーケティング施策を体系的に整理する際に有効。「どの段階の顧客に、どんな情報を提供すべきか」を明確にできます。
金融機関の本業支援で特に重要な用語
LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)
定義: 1人の顧客が、取引開始から終了までの期間に企業にもたらす利益の総額。
計算式: LTV = 平均購入単価 × 購入頻度 × 継続期間
実務での活用: 取引先企業に「新規顧客獲得だけでなく、既存顧客の維持・育成が重要」という視点を提供。CPAとLTVのバランスを見ることで、適切な広告投資額を判断できます。
ローカルSEO(Local SEO)
定義: 特定の地域での検索結果で上位表示を目指すSEO施策。Googleビジネスプロフィール(旧:Googleマイビジネス)の最適化が中心。
実務での活用: 地方金融機関の本業支援として、地域密着型ビジネスの取引先に特に有効。「○○市 美容院」などの地域×業種キーワードでの上位表示を支援できます。
Googleビジネスプロフィール(Google Business Profile)
定義: Google検索やGoogleマップに、店舗・企業の情報を無料で掲載できるサービス。営業時間、住所、電話番号、写真、口コミなどを管理できる。
実務での活用: 地域の小売店、飲食店、サービス業の取引先に対し、最も即効性のある施策として提案可能。登録・最適化の支援は、金融機関職員でも比較的容易に実施できます。
まとめ:本業支援の現場で活かすために
金融機関の本業支援担当者にとって、Webマーケティング用語の正確な理解は、取引先企業との対話の質を大きく向上させます。
実務で重要な3つのポイント:
データに基づいた提案
「感覚」ではなく、CVR、CPA、ROIなどの指標を用いて、定量的に課題を可視化し、改善策を提案する段階的な支援
リードジェネレーション→リードナーチャリング→顧客化という流れを理解し、取引先企業の成長段階に応じた施策を提案する継続的な伴走
Webマーケティングは一度実施して終わりではなく、PDCAサイクルを回し続けることが重要。金融機関として長期的なパートナーシップを構築する
地域経済の発展と取引先企業の成長を支援するため、本記事で解説した用語を実務で積極的に活用していただければ幸いです。
宣研ロジエ株式会社は金融機関の取引先へのマーケティング支援から新規事業の実装・運用支援まで、創業60年以上の課題解決実績を活かし、金融機関とパートナーシップを結んで事業の成功を実現します。
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